建築

【5分で読める!建築基準法の大枠を解説】最低限の知識を専門用語無しで分かりやすく解説

建築基準法

はじめに

こんにちは、一級建築士のかもしかです。

これから建築に関わる人が、ざっと建築法令をイメージできるように専門用語無しでわかりやすく解説します。

かもしかが、建築に携わったばかりの時は、いろいろサイトを見て調べても専門用語ばかりで中々頭に入ってきませんでした。

参考書も基本、専門用語の文字ばかりで難しい。。。

マイホームをこれから建てる人、建設会社で働く人、不動産会社で働く人、はたまた建築に興味があるひと、

建築の本髄まで知る必要はないけれども、大雑把な知識がほしい人へ、かもしかが専門用語無しでわかりやすく説明していきたいと思います。

建築基準法を理解する最初の一歩として本サイトを利用していただければ幸いです。

※これから解説する部分は、かもしかの個人的な見解も含みます。

また、図解雑学建築のしくみ は、だれでもわかるように図が多めで、火災事故などを契機にこの規定ができたなど雑学も多めに記載されているため、他の文字ばかりの参考書より勉強になりますよ。

建築基準法は財産や生命を守るための最低限の基準

建築基準法は、第1条の目的に「この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする。」と記載されています。

つまり、最低限の基準なので、これを守らないと、住んでる人・使う人の生命が危険であり、建物の財産としての価値がなくなりますよ!という意味です。

逆に言うと、省エネ性能がよいことやメンテナンス・掃除のしやすや、間取りの良さなど使う人の使い勝手の良さは求めていません。

また、建築基準法という法律は、

建築基準法

建築基準法施行令

建築基準法施行規則

各都道府県市町村の建築基準条例

国土交通大臣告示、通達、技術的助言など

関連するものが多岐にわたりますし、法令集も読む気が無くなるくらい分厚いです。。

一般の方には全然必要ない知識がほとんどですが、最低限知っておいた方がよい建築基準法の大枠について、専門用語無しに簡単に解説していきます。

建築基準法の解説

建築基準法の主な構成は以下のとおりです。

①「建てるまで~工事完了」までの手続きに関する規定

②建物・敷地の位置・形状などに関する規定(集団規定)

③構造計算や防火シャッター、避難階段など建物自体の構造に関する規定(単体規定)

①手続きに関する規定

確認手続き手続きには、主に設計図が法律に適合していかを確認してもらう「確認申請」と、出来上がった建物が図面どおりにできているかを検査してもらう「完了検査」の2種類があります。

確認申請

確認申請

建て主は、建築する前に、役所又は民間確認検査機関※に、図面をもっていって建築基準法に適合していることを確かめてもらわなければなりません。

※平成12年から役所だけでなく指定受けた民間の確認検査機関でも、確認済証が発行できることとなっています。

手続きの流れは以下のとおりです。

①確認申請書と図面提出

②役所等から連絡(訂正など)

③確認済証の交付

住宅などの小規模な建物の場合概ね7日以内に確認済みとなります。(大規模な建物は35日)

手数料は、住宅の場合おおむね1万円から3万円の間くらいです。(建物の規模や地域によって変わります。)

この、確認済証が大きな効力を持つ書類で、これが発行されないと「工事に着工できない」こととされています。

 

完了検査

完了検査

確認済証が交付され、工事に着工し、建物が完成したら、役所等に申請して完了検査を受けなければなりません。

完了検査の手続きはおおむね以下のとおりです。

①工事完了

②完了検査の申請

③完了検査実施

④検査済証交付

この検査済証が出ることで、その建物が建築基準法に適合していることを証明してくれます。

この検査済証があることで建物を担保とした住宅ローンなどの融資を受けることができます。

確認済証:確認申請で計画図面が建築基準法に適合しているときに役所等から発行される。(これがないと工事に着手できない。)

検査済証:完了した建物が、建築基準法に適合しているかの検査に合格した場合発行される。(これがないと、銀行等から融資が受けれない、不動産の価値が下がるなど不利益が生じます)

集団規定とは

続いては、集団規定です。

集団規定を一言でいうと、建物の中身でなく、建物が位置する地域など道路など周辺環境によって、建物の位置・形状など制限する規定です。

集団規定は、主に以下の4項目で構成されています。

・用途地域

・接道

・建ぺい率・容積率

・高さ制限

用途地域

用途地域は、市街地ではほとんど指定されています。(農村部などは指定のない地域もあります。)

用途地域は、建物の用途を規制するために定められており、全部で13種類あります。

第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、田園住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域、工業地域、工業専用地域

一番厳しい規制がされる、第1種低層住居専用地域では、名前のとおり低層な住居のための地域です。郊外の駅から少し離れた住宅街をイメージしてください。

第1種低層住居専用地域では、コンビニなどの店舗も建築できないこととされています。

一方、規制の緩い準工業地域などは、幹線沿いなどに設定されることが多いですが、スーパーマーケットや工場、病院などほとんどの用途の建物が建築できます。

建築制限については、こちらが参考になります。

この用途地域は、各市区町村の都市計画課などのホームページで確認することができます。

接道

道路

「接道」と一般的に言っていますが、法律用語ではありません。

建築基準法の43条に建物の敷地は道路に2m以上接しなければならないとされています。

つまり、2m以上接している土地でなければ、建物を建てることができません。

建物が建てられる敷地か、建てられない敷地かが「接道」状況によって変わりますのでとても重要です!

ここでいう「道路」とは主に以下の6種類です

①4m以上の市町村道や県道、国道など公的に管理されている道

②都市計画法による開発行為、区画整理事業等による道路

③昔(正確には都市計画区域に編入されたとき、又は建築基準法の施行(S25)より前)から存在する4m以上の道

④都市計画道路など2年以内に施工される道路で役所が指定した道

⑤位置指定道路(役所に位置の指定を申請し指定された道路)

⑥昔から家が立ち並んでいる4m未満の道で役所が指定した道路(2項道路)

中でも⑥の2項道路とは、建築基準法42条2項に規定されているためこのように呼ばれています。

2項道路は、4m未満の道路であるため、2項道路に接して家を建てる場合は、2項道路の中心線から2m後退する義務が生じます!(セットバック)

土地を買っても、2項道路に接する部分は後退して塀などを作る必要があるため、注意してください。

道路が①~⑥のどの種類の道路になっているかは、役所(主に建築指導課)で確認できます。

自分の土地や、これから建築予定の土地が、接道しているかはとても重要なポイントで不動産売買の重要事項説明でも説明される項目となっています。

建物の敷地は2m以上道路に接しなければいけない

2項道路に接する場合、2項道路の中心線から2m後退しなければならない。

建ぺい率・容積率

次に建ぺい率・容積率です。

建物の敷地の通風・採光について良好な環境とするために必要とされている規制です。

建ぺい率は、建物を上から見た時に敷地の面積に対して建物の面積の割合をいいます。

上で説明した用途地域ごとに設定されており、各市町村の都市計画図で確認することができます。

郊外の住宅地であれば、40%~60%

駅前などの商業地であれば80%などが設定されているかと思います。(これも都市計画図で確認することができます。)

つまりは、商業地域などを除き、原則として敷地めいいっぱいに建物は建てられないということです。

容積率は、敷地面積に対する、建物の延べ床面積の割合です。

住宅地では一般的に200%、商業地域などでは、高度利用を促進するため400~500%になっているところもあります。

例として、前面道路などの諸条件を検討しない場合

200㎡の住宅地の場合、建ぺい率が60%、容積率が200%の場合

120㎡の建築面積、400㎡の延べ床面積まで建築することが可能です。

用途地域ごとに決められた建ぺい率・容積率までしか建築することができない。

高さ制限

斜線制限

市街地の環境・景観等を保持するために建築物の高さも制限しています。

高さ制限は、一言でいうには足りないくらい実務では複雑で難解な規定です。

主に、

①道路斜線

②隣地斜線

③北側斜線、

④日陰規制

⑤絶対高さ制限     により建物の高さや形状が制限されます。

①道路斜線は、名前のとおり道路から見えない斜線がかかり、その斜線からはみ出て建築してはいけないということです。

出展:高木達之建築設計事務所HP

都会の道沿いの斜めに切ってあるような建物は道路斜線をクリアするために斜めの形状にしている可能性が高いです。

道路斜線は、建物が道路から後退している場合や、近くに広い道路がある場合など緩和規定もあります。

②隣地斜線

①の道路斜線と同じように隣地境界線からも斜線がかかります。

ただ、道路より厳しくなく20mを超えるときにかかってくる可能性があります。

③北側斜線

これは、住居系の用途地域のみかかる制限です。

北側の日照をある程度確保するために、北側の隣地・道路境界線から隣地斜線より厳しい斜線がかかります。

④日陰規制

これは、用途地域ごとに対象となる建物の高さが決められており、例えば住居系の地域であれば、10mを超える建物が規制対象となります。

対象となった建築物は、隣地境界線から5m以上の範囲から10mの範囲、10m以上の範囲において、決められた時間(例えば3h)以上日陰を生じさせてはいけないこととされています。

これを確かめるために、設計士は日影図という図面を作成し、冬至の太陽高度が一番低い条件の時に建物の日陰を1時間ごとに作成し、検討します。

東西に長い建物は、一定の日陰を生じさせやすいので注意が必要です。

⑤絶対高さ制限

第1種低層住居専用地域、第2種低層住居地域に定められたもので、10m(又は12m)を超えて建物を建てることができません。

①~③には天空率による緩和があります。(①~③の制限を超える建物でも天空率が一定以下であることを検討すれば、適合と扱うよ!という規定)

適用を受ける場合は、設計士の技術的テクニックが必要不可欠です。

 

単体規定

続いて単体規定を簡単に説明します。

集団規定は、建物・敷地の位置や形状についての規制でしたが、単体規定は、建物自体の構造等を規制しています。

主なものに、①構造耐力、②防火規定、③避難規定の3つです。

そのほかにも、階段・廊下の寸法を規定する一般構造の規定もありますが、ここでは省略します。

①構造耐力

構造計算

構造耐力とは、構造計算等によって地震・風圧力による横からの力、雪や建物自体の重さによる上からの力に対して安全であることを証明しなければなりません。

構造計算を一言で表すと

【地震、風、雪、建物自体の重さによる力】<【柱や梁など各部材の耐えられる力】

であることを、ち密な計算により確かめています。

ですが、すべての建物に構造計算が求められているわけではありません。

比較的小さい規模の建物

例えば木造2階建ての住宅(500㎡以下)や平屋の鉄骨造(200㎡)などは、構造計算をしなくてもよいとされています。(もちろん構造計算してもOKです!)

構造計算をしない場合は、木造の場合は、筋交いの入った壁の量が足りているか(壁量計算)や金物の種類が適切かなどを確かめることとされています。

鉄骨造の場合は、部材の接合方法等が適切であるかなど確かめる必要があります。

②防火規定

防火シャッター

【出展】東洋シャッター

防火規定とは、建物自体が火事になった時に、中の人が安全に避難出来て且つ、周りの建物に燃え移らないことを目的に規制されています。

また、逆に周りの建物が火事になったとき、自分の建物に燃え移らない性能も求められています。

防火規定の主な項目は、耐火・準耐火要求、防火区画の2つとなります。

耐火・準耐火建築物

特に、不特定多数の人が利用する施設(病院や、店舗など「特殊建築物」といいます。)は火災被害の重大性から耐火建築物・準耐火建築物としなければならない場合がほとんどです。

耐火建築物とは、火事が起きても最低1時間は、倒壊をしない、延焼しない仕様となっている建築物です。(主に鉄筋コンクリート造となります。)

準耐火建築物は最低45分、延焼しない構造です。(主に鉄骨造)

耐火建築物・準耐火建築物の違いは、耐火建築物は火事が起こっても最低一時間の間、倒壊をしない構造がもとめられており、火事のあとも建物として使用できます。

火事のあとも建物として使える性能を求めるか、求めないかが耐火建築物・準耐火建築物の相違点になります。

あと、耐火建築物・準耐火建築物には、隣地から近い(延焼の恐れのある部分)窓を防火戸としなければなりません。

防火戸とは、現在では主に網入りガラスが使用されています。

出展:ガラス屋.com様

防火区画

続いて防火区画です。

防火区画は、よくマンションの階段や廊下などにある防火シャッターなどをイメージしていただければと思います。

出展:㈱LIXIL鈴木シャッター様

一般的に1000㎡(準耐火建築物等の場合は1500㎡)を超える建物は、1000㎡(又は1500㎡)ごとに火煙を通さない防火シャッターなどの防火設備で区画しなければなりません。(面積区画)

また、火事による煙が避難経路である、「階段」や「エレベーター」「吹き抜け部分」など上の階に漏れないように、煙が上層に行かないよう区画しなければなりません。(これを竪穴区画といいます。)

↓吹き抜け部分の防火区画(火事になると煙が上階にいかないようにシャッターが閉まります。)

出展:㈱横引きSR様

そのほかにも、建物の用途別に区画する「異種用途区画」高層階を区画する「高層区画」があります。

③避難規定

避難規定

続いて避難規定です。

建物の中の人が、火事や地震の際に安全に避難できるよう、建物の構造が規制されています。

主に、直通階段、排煙設備、非常用照明によって構成されています。

直通階段

避難街談

不特定多数の人が利用する建物では、2以上の階段の設置が求められています。

火事で一方の階段が使用不能となったときにもう一方の階段で避難できるよう設置が義務付けられています。

ただ、2の階段を設置すればよいというわけではなくて、2つの階段は離して設置しなければなりません。あまりに近いと2つの階段がOUTとなる可能性があるからです。

また、5階以上の建物に設置する階段は、「避難階段(又は特別避難階段)」としなければならず、階段室・階段自体を燃えない構造にしたり、非常用の照明を付けたり、窓からの距離を離して火煙が階段に入らない構造にするなどより、安全に避難できる階段にグレートアップされます。

排煙設備

排煙設備は、想像のとおり火事の時に発生する煙を建物外へ逃がし避難しやすくする設備でとても重要です。

不特定多数の人が利用する特殊建築物や、3階以上(500㎡)以上の部屋などに設置が義務付けられています。

排煙設備と聞くと機械でプロペラを動かして煙を逃がすこと(機械排煙)を想像されるかもしれません。

しかし排煙設備には2種類あり、上記の機械排煙と窓等の開口部による自然排煙があります。

自然排煙とは、排煙上有効な窓(天井から800mm以内)により煙を外に逃がします。

また、排煙については、排煙区画というものがあります。

煙が火事の部分から他の部分に漏れないように天井にガラスの垂れ壁みたいなものを設置します。

よく、スーパーマーケットなどの天井をよくご覧ください。

天井にガラスの区画が張り巡らされていると思いますが、これが「防煙区画」です。

非常用照明

非常用照明は、これもまた、天井に設置されており、停電になったときに予備電源により作動し暗い中足元を照らしてくれて、避難をサポートしてくれます。

非常用照明も、不特定多数の人が利用する特殊建築物や広い部屋などに設置が義務付けられています。

最近の非常用照明は、LEDライトにより電気の寿命が長いですが、一昔前は白熱電球によるもので頻繁に玉切れ等を起こしてしまい、いざという時に役に立たない場合もあります。

もしご自身の職場などにもついていたら、非常用照明からぶら下がっているヒモ(又はボタンのようなもの)を押すと光って玉切れしていないかを確認することもできます。

まとめ

いかがでしかた?

建築基準法の最低限の知識はこれでばっちりだと思います。

今回紹介したもののほかにも、階段の寸法や廊下の幅、防火戸の構造、昇降機(エレベーター・エスカレーター)、看板などの工作物に関する規定も実は建築基準法で定められています。

もっと、理解を深めたい方は下の本が参考になります。

図や写真が多めで、法律ができた背景(火災事故)などの雑学も豊富に記載されているため、覚えやすいです。