建築

【屋根葺き材は○○○で葺けばOK】建築基準法22条区域の屋根と63条防火区域の屋根構造について

屋根材料

はじめに

屋根の材料は、22条の区域と63条の区域では何がどう違うの?

結局、何の材料でふけばよいの?

そんな疑問にお答えしたいと思います。

建築基準法において屋根を葺く材料に決まりがあります。

葺く材料を規制しているのは、建築基準法法22条と63条です。

22条と63条は、条文がかなりやっかいで、どのような材料で葺けばよいかわかりにくいのです。

今回は法22条と法63条が規定する屋根の構造の違いや大臣認定番号の違いについて解説します。

<時間がない人向け>
法22条 → H12告示第1361号 → 法63条 → H12告示第1365号(不燃※)の順で最終的に不燃材料で葺けばよいこととなっております。
※不燃性物品の保管庫は難燃でも可
となります。

建築基準法
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政令から告示を行ったり来たり・・・

何の材料で葺けばよいのか?

答えにたどり着くまで法・施行令・告示を行ったり来たりしなければなりません。

まず、法22条の条文は以下のとおりです。

(屋根)第二十二条 特定行政庁が防火地域及び準防火地域以外の市街地について指定する区域内にある建築物の屋根の構造は、通常の火災を想定した火の粉による建築物の火災の発生を防止するために屋根に必要とされる性能に関して建築物の構造及び用途の区分に応じて政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。ただし、茶室、あずまやその他これらに類する建築物又は延べ面積が十平方メートル以内の物置、納屋その他これらに類する建築物の屋根の延焼のおそれのある部分以外の部分については、この限りでない。

法では、22条の区域内の屋根は、政令で定める技術的基準に適合するもので、①国土交通大臣が定めた構造方法、②国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならないとされています。
制令で定める技術的基準とは何か、令109条の6に規定されています。

(法第二十二条第一項の市街地の区域内にある建築物の屋根の性能に関する技術的基準)
第百九条の六 法第二十二条第一項の政令で定める技術的基準は、次の各号(不燃性の物品を保管する倉庫その他これに類するものとして国土交通大臣が定める用途に供する建築物又は建築物の部分で、通常の火災による火の粉が屋内に到達した場合に建築物の火災が発生するおそれのないものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものの屋根にあつては、第一号)に掲げるものとする
一 屋根が、通常の火災による火の粉により、防火上有害な発炎をしないものであること。
二 屋根が、通常の火災による火の粉により、屋内に達する防火上有害な溶融、亀裂その他の損傷を生じないものであること。

政令では、どのような性能を有しなければいけないかの技術的基準を規定しており、具体的に何で葺けばよいかの記載はありません。
ここでわかるのは、通常の火災による火の粉により、防火上有害な発炎や損傷を生じないことです。

また、不燃性物品の保管庫などは火災の危険性が少ないことからか第一号の基準(発炎しないこと)だけ適用を受けます。

次に法22条に記載のある①の国土交通大臣が定める構造方法を見てみましょう。

〈平成12年5月24日 建設省告示第1361号〉
第1 建築基準法施行令(昭和25年政令第338号。以下「令」という。)第109条の5各号に掲げる技術的基準に適合する屋根の構造方法は、建築基準法第63条に規定する屋根の構造(令第136条の2の2各号に掲げる技術的基準に適合するものに限る。)とすることとする。
第2 令第109条の5第一号に掲げる技術的基準に適合する屋根の構造方法は、建築基準法第63条に規定する屋根の構造とすることとする。

第1と第2の違いはよくわかりませんが、ここでようやく22条の屋根は法63条に規定する屋根の構造とすればよいことがわかりました。
続いて、法第63条です。

(屋根)
第六十三条 防火地域又は準防火地域内の建築物の屋根の構造は、市街地における火災を想定した火の粉による建築物の火災の発生を防止するために屋根に必要とされる性能に関して建築物の構造及び用途の区分に応じて政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。

まだ、答えでないんかいっ(汗

っと突っ込みたくなる気持ちはよくわかります。法律とはこういうものなのです。

で、法63条においても、どのような性能を有しなければいけないかの技術的基準については政令(令136条の2の2)に委任されています。
具体的な屋根の構造は①国土交通大臣が定めた構造方法に適合するもの、及び②国土交通大臣の認定を受けたものが使えることになっています。
まずは、政令を確認してみましょう。

(防火地域又は準防火地域内の建築物の屋根の性能に関する技術的基準)
第百三十六条の二の二 法第六十三条の政令で定める技術的基準は、次の各号(不燃性の物品を保管する倉庫その他これに類するものとして国土交通大臣が定める用途に供する建築物又は建築物の部分で、市街地における通常の火災による火の粉が屋内に到達した場合に建築物の火災が発生するおそれのないものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものの屋根にあつては、第一号)に掲げるものとする。
一 屋根が、市街地における通常の火災による火の粉により、防火上有害な発炎をしないものであること。
二 屋根が、市街地における通常の火災による火の粉により、屋内に達する防火上有害な溶融、亀裂その他の損傷を生じないものであること。

法22条から委任される令109条の6と違うところは、「市街地における」が加わっていることだけです。
この後の大臣認定でも説明しますが、市街地における火災の方が少し厳しい基準となっています。

①国土交通大臣が定めた構造方法は、H12告示第1365号に記載されています。

防火地域又は準防火地域内の建築物の屋根の構造方法を定める件
第1 建築基準法施行令(昭和25年政令第338号。以下「令」という。)第136条の2の2各号に掲げる技術的基準に適合する屋根の構造方法は、次に定めるものとする。
一 不燃材料で造るか、又はふくこと。
二 屋根を準耐火構造(屋外に面する部分を準不燃材料で造ったものに限る。)とすること。
三 屋根を耐火構造(屋外に面する部分を準不燃材料で造ったもので、かつ、その勾配が水平面から30度以内のものに限る。)の屋外面に断熱材(ポリエチレンフォーム、ポリスチレンフォーム、硬質ポリウレタンフォームその他これらに類する材料を用いたもので、その厚さの合計が50ミリメートル以下のものに限る。)及び防水材(アスファルト防水工法、改質アスファルトシート防水工法、塩化ビニル樹脂系シート防水工法、ゴム系シート防水工法又は塗膜防水工法を用いたものに限る。)を張ったものとすること。
第2 令第136条の2の2第一号に掲げる技術的基準に適合する屋根の構造方法は、第1に定めるもののほか、難燃材料で造るか、又はふくこととする。

キターーーー!

ここで、やっと不燃材料で葺けばよいとわかりました。
その他にも、準耐火構造にすれば、準不燃でOK、
耐火構造にすれば、屋外面に断熱材と防水材を張ってOKと若干緩和されています。
また、第2において不燃性物品の保管庫については、難燃材料でOKとされています。

長い道のりでしたが、上記のような順序で不燃材料にたどり着きました。

ここで一つ疑問が生じます。

かもしか
かもしか
22条と63条の屋根の構造の違いはなんだ?

22条と63条の違いは大臣認定番号とその試験方法

政令において、市街地の火災と通常の火災を想定している違いはありますが、具体的には、大臣認定の試験の方法に違いがあります。

認定番号の種類

22条、63条にはそれぞれ大臣認定の構造方法が認められておりますが、認定番号もそれぞれちがい不燃性物品の保管庫等も含めると4種類あります。

UR 法22条区域内の屋根
UW 法22条の区域内屋根(不燃性物品の保管庫)
DR 法63条の屋根
DW 法63条の屋根(不燃性物品の保管庫)

認定を受けている製品は、こちらのHPで確認できます。

大臣認定試験の方法の違い

上記の大臣認定の番号が4種類あります。
結局は、不燃材料でふけばOKになりますが、認定試験の方法に違いがあるようです。

大臣認定の試験を実際に実施している一般社団法人日本建材センターのホームページによると

このような試験機で、製品に防火上有害な発炎や損傷がないか試験するそうです。

22条と63条の違いは、試験の時に使われる火だねの違いにあります。

22条の試験では、
40 ㎜×40 ㎜×40 ㎜の樹種ブナの木材
63条では、
19 ㎜×19 ㎜×80 ㎜の樹種ブナの木材、一段に各3 本ずつ等間隔に並べたもの

で試験することとなっています。
63条の法が、火種が大きく厳しい試験になっていることがわかります。

参考URL

※実際に22条より63条の認定製品の方が圧倒的に多いです。

<参考>昔の法22条

もとから、こんなに複雑であったわけではありません。

平成12年の建築基準法の大改正において、性能基準が導入されたことに伴いこんなに複雑にされました。

昔、建築基準法施行当初の法22条を見てみましょう。

〈昭和25年10月25日 – 昭和34年12月22日〉
特定行政庁が防火地域及び準防火地域以外の市街地について関係市町村の同意を得て指定する区域内においては、建築物の屋根は、不燃材料で造り、又はふかなければならない。但し、茶室、あづまやその他これらに類する建築物又は延べ面積が10平方メートル以内の物置、納屋その他これらに類する建築物の屋根の延焼のおそれのある部分以外の部分については、この限りでない。

法22条に直接書いてあるーーー。(汗

<参考>不燃性物品の保管庫とは

不燃性物品の保管庫は、告示でどのようなものをいうか、またどのように葺けばよいか定められています。

どのようなものか?

一 スケート場、水泳場、スポーツの練習場その他これらに類する運動施設
二 不燃性の物品を取り扱う荷捌き場その他これと同等以上に火災の発生のおそれの少ない用途
三 畜舎、堆肥舎並びに水産物の増殖場及び養殖場
四 劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂及び集会場
五 アトリウムその他の大規模な空間を通行の用に供する用途

なにで葺けばよいか?

(1)1~3号は、主要構造部を準不燃以上とする必要があります。
(2)4号は、(1)に加え客席の仕上げを難燃以上、廊下等を準不燃にする。
(3)5号は(1)と廊下等を準不燃にする

これを満たせば、難燃で葺いてもOkとされています。

 

まとめ

法22条と63条の屋根については、結局のところ不燃材で葺けばOKということがわかりました。
また、法22条と法63条の違いは、大臣認定の試験方法にあることがわかりました。

この違いについては、実務では特に必要のない知識ですが、豆知識として頭に入れておいていただければと思います。

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